WEB小説紹介№030 「遙かなるシアラ・バドヴィアの軌跡」 乾 隆文さん
遙かなるシアラ・バドヴィアの軌跡
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【完結】
魔法文化国家の、
とある田舎町に住む主人公の
少女、ティリル・ゼーランド。
ある日彼女の元に
王都からの使いがやってきた。
※あらすじ引用
魔法文明国家の、とある田舎町に住む主人公の少女、ティリル・ゼーランド。
ある日彼女の元に、王城から使いがやってきた。
彼は言う。「あなたの母君は、世界最高の魔法使シアラ・バドヴィアだ」と。
幼くして別れ、名も面影も知らなかった実母。
その正体が、幼心にも憧れた伝説の魔法使だと知り、ティリルは自らも魔法使の道を歩むことを決める。
かくして王都へ赴き、魔法大学院に編入したティリル。
そこで彼女は、掛け替えのない友情と、得難い恩師の指導と、そして凄烈な悪意とを、得ることになる。
※記事に合わせて新しい表紙画像も用意しました。
見やすいサイズにしています( *´艸`)✨
※本文から引用しています
序章 ユリの山奥にて 第一節 春の雪夜
はちん、と暖炉の火が爆ぜる。
ティリルは徐に、僅か本から目を上げて暖炉の薪を見た。そしてまた何事もなく、読みかけの小説に目を落とし、物語の世界にのめり込み直す。
気紛れに冬の寒さを思い出した、春先の山の夜。暖炉の炎のぬくもりは、ソファに足を抱えて座る少女のところまでどうやら届いてくる。脇ではローザが、いつもと同じように編み物をして時間を潰している。
いつもと変わらない、夕食の後のささやかな憩い。ティリルはこの時間が、一日の中で一番好きだった。
この家に住み始めてすぐの頃は、自分が居候だという自覚からなかなか気構えを崩せず、ローザに対しても要らない遠慮をしてばかりいた。しかしローザはそれまでと変わらず優しく、いつでもティリルを当たり前の、この家の住人の一人として扱ってくれた。ローザは決して口数の多い人ではないのだけれど、その茶色い丸い瞳、薄く皺の刻まれた口許に浮かぶ確かな優しさ暖かさを、いずれしっかりと受け止められるほど心に余裕が生まれると、今度はその傍にいることに心安ささえ感じるようになる。
元よりティリル自身も、決して口を開くのが得意とは言えなかった。
「……雪」
ふと、珍しくローザが編み物の手を休めて顔を上げた。
ティリルは、一瞬は何と言われたか聞き取れず、少し遅れてローザの横顔に目を向ける。
「雪が降り始めたかしら?」
「――え、本当ですか?」
聞くや、ティリルは本を閉じて窓に駆け寄った。カーテンを開け、曇ったガラスを手で拭うと、窓鏡に映るのは翠色の瞳と香茶色の長い髪。そして、あどけない少女の面に重なって見えるのは、ちらほらと舞い降る幾片の白だった。
「本当、雪だ」
音を立てるわけでもなく降り出していた白雪。ローザは一体どうしてそれに気付いたのだろう、と不思議に思うのも一瞬。ティリルはやがてぼんやりと、窓に見える闇と綿雪と、映る暖かい部屋との情景に魅せられてしまう。
雪は好きだ。山奥の生活では、それは必ずしも幻想的であるばかりではないものだが、それでもティリルは白銀に光る雪が、白に染まっていく世界が好きだった。もう、この年の冬は見納めか。昼に見た山の木々はそろそろ枝先に芽をつけ始めていた。冬はもう、終わる。春がやってくるのだ。
「ティリル」
ぼんやりと窓に寄り添っていた少女は、ローザの声で現実に呼び戻される。
「そこは寒いでしょう? こちらにいらっしゃいな」
「……はい」
言われて、体が冷え始めていたことに気付く。心の中にはもう少し雪を見ていたいという想いもあったのだが、それで体を壊してもローザに迷惑がかかる。大人しくカーテンを閉めて窓から離れ、暖炉の側のソファに戻ることにした。
「そういえば、ウェルは部屋に戻ってるのかな」
ふと、思い至って呟く。雪が降るほど寒いのに、ウェルがいないのは珍しい。彼は人一倍寒がりで、そのくせいつも強がってソファの上をローザとティリルに譲り、自分は冷たい床の上せめて暖炉のすぐ脇に陣取って、剣の手入れをしているのだ。今日は夕飯の後、裏の物置小屋の様子を見てくるといって外に出て行ったが、気が付けばあれから大分経ったというのにまだ居間に戻ってこない。
不思議に思って首を捻ってみたが、別段ローザからは何を言ってもらえるわけでもなかった。
「どうしたんだろ……。私ちょっと様子を見てきます」
ぱたぱたと足音を立てて、ティリルはリビングを出て玄関に向かう。ローザは沈黙をもて気にすることはないと言いたげだったが、それでもティリルは彼のことを放ってはおけなかった。
外に出て、物置小屋を覗く。ウェルの姿はない。
表紙画像は魔法大学院に通ういうイメージとして、教科書や本を読む主人公をイメージしています✧٩(ˊωˋ*)و✧
あと微妙に二人並んで歩く姿は街へ買い物にいくイメージです。
英文は、あらすじを翻訳しております( *´艸`)✨
若干見えづらくしているのは、表紙のイメージ的にゴチャゴチャしない程度のアクセントを付ける為です。
こちらは設定資料になります( *´艸`)✨
遙かなるシアラ・バドヴィアの軌跡 設定資料集
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拙作『遙かなるシアラ・バドヴィアの軌跡』の設定資料です。
この先どれくらい内容を増やせるかはわかりませんが、本編の合間に挟むのに違和感を覚え始めたので別ページを作ってみました。シリーズも充実させたいしね!というわけで、もしよければ参考程度にご覧ください。
0-0-1.世界地図
0-0-2.ソルザランド王国
0-0-3.エネア分立統合歴
0-0-4.ツイッター掲載分設定資料
0-0-5.キャラクター紹介① ティリル・ゼーランド
0-0-6.キャラクター紹介② ミストニア・ルーティア
0-0-7.キャラクター紹介③ ヴァニラ・クエイン
0-0-8.キャラクター紹介④ ルース・デルサンク
0-0-9.キャラクター紹介⑤ リーラ・レイデン
ある日彼女の元に学院への
出立を決めた少女の成長を描く、
魔法の世界のファンタジー。
なろうにて
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A
それでは自己紹介をお願いします(*'▽')!
Q
乾隆文と申します。
昔ある作品のファンで、「これの知識なら誰にも負けない!」と思っていたのですが、世の中にはもっとコアな方がごろごろいて、軽い挫折を味わいました。
そして思い立ちます。「自分で作った話なら、自分が一番詳しくなれるんじゃね!?」
不純な動機で小説を書き始め、今私は、作者より作品に詳しいくらいの熱烈なファンを渇望するようになりました。
(>_<)上には上がおりますからね💦
挫折から思い立つ気持ちは大事です✧٩(ˊωˋ*)و✧
熱烈なファンの存在は、書き手として渇望しちゃいますね。
A
得意なジャンル・シチュエーションなどはありますか?
Q
得意なジャンル・シチュエーション… 設定厨なのでファンタジーが好きです。時代考証とか資料を調べたりとか苦手なので、全部自分で作る方が好きです。
シチュエーションは、なんだろうな。得意かどうかはわかりませぬが、主人公が凹まされて「でも負けない!」と頑張ってくれるのが好きです。ハッピーエンド好き。あ、好みの話題じゃなかったですか?
設定好きだとついつい作り込んでしまいますよね(*’∀’人)✨
時代考証好きですけど、現地にいったり調べたりするのにも時間がかかりますものね。ちなみにそういう研究は好きですが、こと歴史においては調べば調べるほど新たな謎が出てきて底なし沼に入った感じです。ハイ。
深いですね✧٩(ˊωˋ*)و✧……って、話が逸れた💦
主人公が凹んだり、落ち込んでからの立ち上がるシーンは良いですよね(*'▽')!
そこまでの流れも含めて。
私もハッピーエンドが好きです♩.◦(pq*´꒳`*)♥♥*
え、本当ですよ(੭ु ›ω‹ )੭ु⁾⁾♡
A
代表作はなんでしょう?
Q
代表作は『遙かなるシアラ・バドヴィアの軌跡』。
あさぎさまに素敵な表紙を頂き、まほろば美術館にも置いて頂いております。
見所は終盤の魔法大会に詰め込んだつもりですが、作者のお気に入りは「十四節 美術棟を襲う災難」、それから「十七節 幼馴染と親友」辺りです。結構以前から構想のあったシーンだったので、形にできた喜びがありました。
↑の画像は改めて新調しました✧٩(ˊωˋ*)و✧
書き手にとってのお気に入り(思い入れ)は特別ですからね(*´ω`)
頭の中にある構成が形となるとテンションもあがりまくります!
個人的には「バドヴィアの娘なら、燃えた絵の一枚や二枚、簡単に元に戻せちゃうはずなのに…………」のシーンが切ないです。
A
作品へのこだわりなどはありますか??(*´ω`)
Q
作品のテーマは「少女と少年の成長」。上記代表作は、少女の成長の第一段階までで完結の印をつけましたが、今後別のキャラクターの視点も交え、続きを書いていく予定です。
(2020年2月現在、少年側のお話に当たる『遙かなるユイス・ゼーランドの軌跡』を更新中です)
全ての作品に共通するテーマとしては、多分「世界創造」があるんだと思います。これについては自分でもまだ模索中なので、一生懸けて答えが出せればよい、と考えています。
人の成長というものは物語の中でどう描くのか書き手によって、それこそ異なるかと思います。
続いていく物語。
模索した中で答えがでたら伺いたいです*:゜☆ヽ(*’∀’*)/☆゜:。*
インタビューありがとうございました!
遙かなるユイス・ゼーランドの軌跡
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遙かなるシアラ・バドヴィアの軌跡
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