WEB小説美術館・まほろば

WEB小説の紹介用。全てファンアートを贈った作品のみの展示になります。

WEB小説紹介№058「私の夢、俺の夢」「最後の願い」栗須帳さん

私の夢、俺の夢

 

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あらすじ引用

夢を追い続け、叶わなかった男。 彼は若き日の自分と出会い、言った。「夢を諦めろ」と。

夢を諦めるのか、俺

 

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タグ /ノベプラオンリー 過去の自分 諦めた夢

文字数/1,577文字

 

創作者は読んでみよう:☆☆☆☆

グサッとくる一言:☆☆☆☆

その熱意に完敗:☆☆☆☆

 

二人が出会うそのシーンをファンアートにしてみました。

対峙する二人のシーンが印象的です☆^(o≧∀≦)oニパッ

2000文字未満ですが、グサッくる作品ですので、ぜひに

 

本文引用

 土手に座り、川を眺める少年。

 年は17歳。高校二年だ。

 なぜ私が彼のことを知っているのか。

 答えは簡単だ。

 私は未来の、彼なのだから。

 

 久しぶりにかかってきた、友人からの電話。

 彼は言った。孫が出来た、俺もついにおじいちゃんだと。

 その声は嬉しそうで、幸せそうだった。

「で、お前の方はどうなんだ」

「何も変わらないさ。相変わらずだよ」

「まだ……書いてるのか、小説」

「いや……しばらく書いてないな」

「そうか……」

 彼は気まずそうにそう言い、「すまん」と謝ってきた。

 

 若い頃から、夢を追い続けてきた。

 自分なら出来る、そう信じ、全てを捧げて来た。

 しかし、夢は叶わなかった。

 

続きはこちら↓↓

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こちらはサプライズに☆^(o≧∀≦)oニパッ

短編です。

 最後の願い

 

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あらすじ引用

年老いた男の元に現れた謎の女。

彼女は言った。

ひとつだけ願いを叶えてあげると。

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こちらも短編(*’∀’人)

人の最後、貴方なら何を望みますか??

私は何でしょうね(*´▽`*)

WEB小説紹介№057「語り散るカタルシス」「43ミリ口径の銃創」「桜の木の下には愛が詰まっている」稀山 美波さん

散り散るカルタシス

作者:稀山 美波

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散るとはつまり、解放だ。

解放とはつまり、決別だ。

あらすじ引用

『散る』というのはつまり、カタルシスである。
散ることとはつまり、解放である。
解放とはつまり、決別である。 

 

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ジャンル/現代ドラマ

タグ/短編 桜 カタルシス 解放 散る 決別

衝撃のラスト:☆☆☆☆

決別はいつだって:☆☆☆☆

散の言葉遊び:☆☆☆☆☆

 

散で埋め尽くされた文章。そこから辿り着く物語の結末。

短い文章の中に詰まった主人公の想い。

1,378文字に込められた濃厚なお話をご覧くださいませ(੭ु ›ω‹ )੭ु⁾⁾♡

 

本文引用

語る、散る

 『散る』というのはつまり、カタルシスである。

 

 圧をかけられた感情が、一点に凝り固まった心の内が、鬱屈とした心情が、解き放たれる。あるいは、何かしらの臨界点を越した物質が、何かしらの形で解き放たれる。有にしろ無にしろ、抑え込まれていたものはすべて、最終的に『散る』というかたちを取るのだ。

 

 鬱憤が溜まった際、あなたはどうするだろう。

 抑え込まれていた感情を解き放つべく、感情の赴くままに『散財』するのではないだろうか。

 

 失恋した際、あなたはどうするだろう。

 鬱屈とした心情を払いのけるべく、『散髪』をしたりするのではないだろうか。

 

 執筆していた小説に納得がいかない際、あなたはどうするだろう。

 すべてを投げうって、窓から原稿用紙を『散逸』させたりするのではないだろうか。

 

「ここも懐かしいなあ」

 

 散ることとはつまり、解放。

 言わば、決別でもある。

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 ***

 

43ミリ口径の銃創

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言葉は弾丸に似ている。

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あらすじ引用

彼女の43ミリ口径が刻んだ銃創は、今だ俺の胸骨を軋ませる。

 

「ごめんなさい」という言葉の後がずるい:☆☆☆☆

言葉は弾丸に似ている!:☆☆☆☆

胸が撃ち抜かれる:☆☆☆☆

タグ/短編 弾丸  銃創 言葉 恋愛

5000文字未満の一話完結。

言葉の詰め込まれた物語(*´ω`*)是非にお読みくださいませ✨

 

***

 

 

 桜の木の下には愛が詰まっている

 

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桜の木の下に埋まっているのは、

屍体なんかじゃない。君への、愛だ。

 

あらすじ引用

『桜の木の下には屍体が埋まっている』

この小説を僕に紹介してくれた彼女は、それこそ桜の花弁のような美しさを有し、今にも消え失せてしまうかのような儚さがあった。

高校の図書室にいた彼女と、彼女に一目惚れした男。
桜の咲く季節に出会った二人は、次の桜の季節を迎える。

窓の外から見える桜の木の下には、何が埋まっているのだろう――

 

確かに愛が詰まっていた!:☆☆☆☆

そういう展開か(嫌いじゃない):☆☆☆☆

 

タグ/KAC20205 高校生 恋愛 

4000文字未満の想いの詰まった恋のお話。

 

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WEB小説紹介№056「老人と蝶」平崎芥郎さん

老人と蝶

作者:平崎芥郎

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老人がした、一つの優しさの物語

 

あらすじ引用

純粋な美しさや優しさをテーマに描きました。

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ジャンル/詩・童話・その他

タグ/短編小説 純文学

 

老人の優しさに泣ける:☆☆☆☆

いろんな世界を見に行こう:☆☆☆☆

ちょっとした日常にある気づき:☆☆☆☆

 

とある作家さんと蝶の物語。3000文字未満で紡がれるお話です(੭ु ›ω‹ )੭ु⁾⁾♡

サクッと読める短編。

疲れた時とか、ちょっと一休みするときにおすすめの作品です。

 

本文引用

老人と蝶

 自室には大量の原稿と本が積み重なっている。その真ん中に、老人が机に両手を放り出した状態で眠っている。  

 しばらくすると、老人は目を覚ました。

 「う……あ、あぁ……眠ってしまったか……。」  

 左右にはご存知の通り「山」が広がる。目の前には書きかけの原稿があり、半分過ぎたところで万年筆のインクが下へ一直線に流れ、それは老人の方へと続いている。  

 「なんてことだ!あぁ……」  

 老人は後悔する。その様子は最寄駅を寝過ごしたような反応だ。  

 「なぜわしは寝てしまったのだろうなぁ……歳のせいかのぉ……」  

 すると、一本の電話が鳴る。  

 「おぉ!なんだなんだぁ」  

 慌てながらも心を落ち着け、電話に出た。

 「はい……吉川です」  

 『あ、吉川さん?新作執筆終わりました?今日で締切日ですよ?』  

 「……え」  

 老人は書きかけの原稿の先にあるカレンダーを見つめるが、老眼のせいかなかなか焦点が定まらず、諦めて老眼鏡をかける。  

 「あぁ……わしは二日も眠ってしまったというのか……」  

 『え!?寝てたんですか!?吉川さん……もうこれ以上は待てないですよ……?本来の締切日から二週間も経っているんですから……僕もね、編集長から他の担当になるよう命じられたんです。でも、吉川さんがまた前のように面白い作品を書いてくれることを信じて、その命令を断ってるんですよ……。しっかりしてください……』  

 「あぁ……申し訳ない……はい…………はい……とりあえず、あと三日で終わらせますから……はい……申し訳ない……はい、はいぃ……」  

 電話を切る。  

 「はぁ……いつからこれほどまでに書けなくなってしまったのか……」  

 

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WEB小説紹介№054 「ドライアイス・エンジン」「さよならがいえない」本間 海鳴さん

ドライアイス・エンジン

作者:本間 海鳴

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好きな物が離してくれないんですよ、私のことを。

 

ジャンル/現代ドラマ・短編

タグ/純文学

総文字数/10,400文字

文章のリズム感:☆☆☆☆

主人公の心理描写:☆☆☆☆

カッコいい大人:☆☆☆☆

 

サクッと読める短編です(*´ω`*)

短くも中身の詰まったよき作品ですので、ぜひ読んでみてくださいませ。

 

本文引用

 永遠は、存在しないからこそ美しい。そして、終わりは何かの始まりである。何かが始まる瞬間は、永遠よりも美しい物である。

 

「瀬堂さん、撃たれたんすか?」

 部下である長田くんが、私の顔を見るなり笑いながら言った。

「撃たれた?」

「ヤバいっすよ、胸ポケット」

 はっとしてワイシャツの胸ポケットを見る。差した赤インクの油性ペン。インクが漏れだし、左胸を真っ赤に染め上げていた。

「しまった、なんだこりゃ」

「よかったっすね、スーツの上着てて。上着脱いで電車乗ってたら、笑い者でしたよ」

 スーツの上は会社に着くまで脱がない。それを知っている長田くんは、涙を流しながら笑っている。急いでスーツの内側を確認したが、そこまでは染みていないようだ。

「参ったな。さすがにこれは洗濯じゃ取れないぞ」

 意味が無いと知りながらも、赤い染みを爪でカリカリとかいた。ビクともしない赤い染みは、ぼんやりとあの日のことを思い出させる。

 

 心臓の鼓動よりも下を通り抜けていく音。腹の底を震わせるのは、低いエンジン音と、それを操ることへの興奮である。

 ハーレーダビッドソンは、男の浪漫だ。跨っている時だけは、まるで洋画の主人公にでもなったかのような気がする。ライダースジャケットは上半身に吸い付いて風を切る。ここにベレッタでもあれば、最高のヒーロー気分を味わえたことだろう。

 日本の道路は、狭くて曲がりくねっている。信号も多い。この大きな怪物は、きっとこの道に満足していないはずだ。

「すまんな、相棒」

 フルフェイスヘルメットを被っているのをいい事に、ヒーロー気取りの台詞を吐き散らかす。

「いつかちゃんと真っ直ぐな道を走らせてやるよ」

 答えるかのような『唸り声』。

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さよならがいえない

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顔を捨てた。

全ては一つの恋のため。

 

あらすじ引用

セーラー服には、いい思い出がない。ただ一つ忘れられないのは、低くて甘い国語教師の声だった。同窓会の日、私は勝負に出る。

 

ジャンル/現代ドラマ

タグ/純文学 年の差 整形 悲恋

総文字数/6,289文字

これは切ない:☆☆☆☆

セーラー服が嫌いな理由:☆☆☆☆

精いっぱいの優しさがつらい:☆☆☆☆

 

「おやすみ。幸せになったらまた会おう」のセリフが突き刺さりました(´·ω·̥`)

こちらも短編ですが、読み応えがあります。ぜひ読んでみてくださいませ✨

 

本文引用

 同窓会の招待LINEが来たのは、私が二十歳になったその日のことだった。まるで私が二十歳になるのを待っていたかのように、それはやって来た。

 

 九月十二日。私は二十歳になった。私はその日を一人で迎えた。雨の降る、肌寒い日だった。

 馬鹿みたいに派手な赤いコートで街を歩いた。派手なコートと高いヒールのせいで、すれ違う人がみんな振り向いた。私はその足でコーヒーショップに行って、今日出たばかりの新作を注文した。爽やかな男性店員が、私にコーヒーを手渡してくれた。手渡す時に指先が触れた。コーヒーを受け取って帰る時、男性店員の頬がほのかに赤く染まっているのを見た。

 男性は素直だ。コンシーラーを叩き込んだ顔じゃないから、頬が赤いのがすぐ分かる。カラコンをしていないから、動揺して瞳が震えるのもすぐに分かる。ネイルをしていないから、指先が戸惑っているのもすぐに分かる。胸が無いから、心臓の鼓動が激しいのもすぐ分かる。

 コーヒーを飲みながら仕事場に戻る途中で、LINEが来た。それを読みながら、そっと私は顔を撫でた。

 

 私の顔が整形で出来ているなんて、誰も思っていないようだった。高校を卒業してすぐ、私は自分の顔を捨てた。目を大きくして、鼻を高くし、顎を削って、歯を矯正した。唇を厚くして、脂肪を吸引し、おでこを少し出した。とにかく美人になりたかった。どんな人も虜に出来るような、全ての人が振り向くような、そんな美人になりたかった。顔を変えれば変えるほど、周辺に男性が増え始めた。仕事場でも取引先でも、買い物に行った店や街中でも、どこでも男の人が声をかけてきた。男の人が近付いてくるようになったのを見て、私は整形をやめた。私は、誰から見ても『美人』になったのだ。

 

 

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WEB小説紹介№053 「はじまりを告げる音」「巣籠もる鳥」青桐美幸さん

はじまりを告げる音

作者 :青桐美幸

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それは、濁った空の下に響いた

清涼な音で。

 

あらすじ引用

ある雨の日、傘をなくした男に救いの手が差し伸べられた。
ほんの短いひととき、誰かの親切と前向きな価値観に触れた出来事。

 

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(……あれ?)

 コンビニのドアの前で立ち止まった。

 中に入る前に傘立てに入れたはずのビニール傘がなくなっていた。

 先ほどは、自分の傘と骨の曲がりかかったビニール傘と二本立てかけられていたはずだが、用事を済ませて出てきた今は壊れかけたそれしか残されていなかった。

 同じビニール傘の持ち主が間違えて持っていってしまったか、壊れかけの傘を捨てて代わりに持ち去っていったか、はたまた傘を持っていなかった人間がひどい降りになってきた雨を見て咄嗟に使おうと思ったか。

 いずれにしろ、間違えて持っていってしまった場合を除けば全て窃盗に値する。

 ただ、盗んだ物はといえば百均で購入した何の変哲もないビニール傘だ。柄に名前を書いているわけでもなく、壊れたらまた同じものを買い直せばいいと思える程度の代物にいちいち腹を立てるのも馬鹿らしい。

 そうはいっても複雑な気分はするわけで、多少の喪失感と嫌悪感が体内を駆け巡った。

 せめて確信的に持っていったわけではなければいいなと思った。

(それにしても……)

 止む気配どころか徐々に強まってきている雨足を横目にため息をつく。

 さすがにこの状況で出ていくのは遠慮したい。目的地まで大した距離ではないとはいえ、自分が濡れるのも荷物が濡れるのも避けたいところだ。

 やはり新しいビニール傘を買うしかないか、と再び店の中に入ろうとした時だった。

 

「あの、よかったら私の傘に入りませんか?」

 

 

ジャンル/恋愛

タグ/短編 恋のはじまり コンビニ 傘 雨 カクヨムオンリー

総文字数/2,578文字

 

そこから始まる物語:☆☆☆☆

いつか自分に返ってくる幸せ:☆☆☆☆

続きはどこですか?:☆☆☆☆

 

yashirotougen.hatenablog.com

こちらでも紹介してます(*’∀’人)

 

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今回は色々と合成して、これから何かが始まる✨という雰囲気を出してみました。

(*’∀’人)

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少し画像を調整しました*:゜☆ヽ(*’∀’*)/☆゜:。*

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巣籠もる鳥

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自由になりたい。

でも、自由でいるのは怖い。

 

ジャンル/現代ドラマ

タグ/短編 学園 屋上 放課後 カクヨムオンリー

総文字数/3,522文字

 

考えさせられるテーマ:☆☆☆☆

サクッと読めるよ:☆☆☆☆

o(≧∇≦o)(o≧∇≦)o短編ですわ

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WEB小説紹介№052 「イェリエルの空が割れても、その波に少女の命を捧げる必要はない」 成井露丸さん

イェリエルの空が割かれても、

その波に少女の命を捧げる必要はない

作者:成井露丸

 

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あらすじ引用

イェリエルの街を統治するイェール公爵邸を訪れた、放浪の賢者レイン。
四年に一度の宗教儀式『イェリエルの空』が始まる。
そこで、持ちかけられた相談は、その生贄となる娘アリシアの命を救うことだった。

 

四年に一度の宗教儀式。

少女の命を捧げる。古き因習に逆らえ!

 

本文引用

※作者さまから許可は頂いております。

イェリエルの空が割れても、その波に少女の命を捧げる必要はない。

 空を覆う乱層雲が割れて、一本の光の筋が射し込む。

 それは商業の神デアボラが人々に与える恵みそのものに見えた。

 そこから天使でも降りてきそうだ。

 

 イェリエルの街に生まれ始めた魔法のような情景を、男は公爵邸二階の窓から苦々しい表情で眺めていた。窓枠に体重を預けるように左肩をつけて、石造りの部屋の中から。

 街並みと共にある日常が、その不自然な空に染められそうで、身震いする。

 

異世界の知識をお持ちと噂の『放浪の賢者』――レイン・ルクリア殿も、あの光をご覧になるのは初めてですかな? ――美しいものでしょう?」

 

 そう背後から声を掛けたのは、上品なローブを身に纏った中年の男性。この街を統治するイェール公爵その人だった。

 

「えぇ、美しいですね。――こういう情景を実際に見たことはありません。……これが、噂に聞く四年に一度の『イェリエルの空』なんですね?」

 

 賢者と呼ばれた男――レインは振り返る。

 窓の外の神々しい光に目を細めた公爵は、物憂げでもあった。

 石造りの部屋の中では、もう一人、少女が樫の木で作られた椅子に沈み込んでいる。淡い空色のドレスを身に纏った美しい銀髪の少女だ。

 

「えぇ、そうです。デアボラの大神殿が担う四年に一度の儀式」

「――四年に一度」

「ええ。この国では四年に一度、商業の神デアボラの祝福が薄れ、人々の活力が失われるのです。店の売上が低下し、生活が困窮する。ですから、主神たる商業の神デアボラに回復を願う儀式を執り行うのです。――それが、今日から始まり、明日の昼過ぎまで続く儀式――『イェリエルの空』なのです」

「神様に商業の賑わいを取り戻すお祈りをする、ということですか? ――そして、その生贄となる少女の魂が必要だと」

 

 イェール公爵は重々しく頷いた。自らの立場と、父親としての思いを天秤に掛けながら。

 レインは椅子に沈む公爵令嬢アリシアを見遣る。

 

 二年前にこの街を訪れた時はまだまだ子供っぽかった少女も、随分と女性らしくなっていた。昨夜、自らに「生きたい」と懇願してきた彼女。国の因習に縛られながら、それでも自らの生を求めるその姿を、レインは美しいと思った。

 

「この国全体から中位以上の神聖術の使い手をかき集めてきて作る大規模神聖術式。……大仰なことです」

「デアボラ教会が行う最大儀式の一つですからな」

「……だから、公爵個人が娘可愛さに中止出来るものでもない、と」

 

 公爵はレインの隣まで来ると、曖昧に笑った。否定もせず、肯定もせずに。

 

アリシアは大切な娘。父親としては、もちろん失いたくはないです。しかし、領民を預かる身としては、この街が、デアボラ神に見放され、衰退していくのは――避けたいのだ 」

 

 隣で街を見遣るイェール公爵の横顔をレインは伺う。娘を愛おしく思う父親の表情。領民を愛おしく思う領主の表情。

 レインは、その双眸の奥にある願いを、叶えたいと思う。

 

ジャンル/異世界ファンタジー

タグ/異世界転生 経済学 公爵令嬢 知識チート 宗教 ファンタジー 放浪の賢者 KAC20201総文字数/3,968文字

 

サクサク読める度:☆☆☆☆

世界観が好き度:☆☆☆☆

まとまり感:☆☆☆☆

 

世界観など短いながらにまとまっていて、個人的に読みやすく好きです。

どう物語が展開していくのかお楽しみくださいませ╭( ・ㅂ・)و̑ グッ

 

表紙画像が出来上がるまで*:゜☆ヽ(*’∀’*)/☆゜:。*

今回は人物ではなく、街にしてみました。

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光などのエフェクトを追加して、緑などは生命力などをイメージして。

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白い英文はあらすじなどから引用しました(*’∀’人)

ちょっと✨を入れてみました。

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WEB小説紹介№051 「まじょのゆめ」「それでも魔女は毒を飲む」 空薇さん

 

      まじょのゆめ

作者:空薇

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 忌み嫌われる二人の【魔女】の物語

 

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あらすじ引用

赤目黒髪の女性が『魔女』と忌み嫌われる世界で生きる、全てを諦めていた少女『ユウヒ』と、幸せを知らず誰も知らない闇を抱える少女『ユメ』の歪な、だけど確かな《××》としての物語

 

種類/オリジナル小説

ジャンル/異世界ファンタジー

タグ/魔女 異世界 魔法

全6話の短編集です。

個人的には「ユアンの独白」がが好きです╭( ・ㅂ・)و̑ グッ✨

魔女好きは読もう:☆☆☆☆

幸せになって度:☆☆☆☆

 

yashirotougen.hatenablog.com

今回はホワイトデーサプライズ企画により、表紙画像をプレゼントしました

(*’∀’人)

 

本編引用

作者様から許可を取っております☆^(o≧∀≦)oニパッ

むかしむかしあるところに、ひとりのわるいまじょがいました。

まじょはもりをもやしたり、たくさんのひとをころしたりと、

たくさんたくさんわるいことをしつづけました。

するとあるひ、まじょをたいじするために、

きしさまがたちあがりました。

そしてまじょはたおされ、このくにはへいわになりましたとさ。

めでたしめでたし。

 これはこの国で一番よく知られる昔話だ。この国に生まれた子供は親からこの昔話とともに、魔女と同じ赤目黒髪の女性は魔力を持っているから近づくな、と教えられるそうな。

 それ故に、この国では赤目黒髪の女性への差別が黙認されている。

 

 夢を、見た。唯一私に優しかった母様の夢。幼い私は優しく笑いかけてくれる母様が大好きで、だからずっと母様と一緒にいて……

『ごめんね、ユウヒ。母様、もう、無理だ』

 はっと、飛び起きる。小さな、ろくに家具の無い古い家。幼い頃と大きさは変わらないけれど、家具は確実に減ったし、大好きだった母様はいない。

 たくさんのヒビが入った鏡で徐ろに自分の顔を覗き込む。そこにいるのは、病的な白い肌に鋭いルビーの瞳、まっすぐ伸ばした夜色の髪をもつ、魔女。

 我ながら笑えてくる。母様は碧い瞳に金の髪、私が生まれたとともに消えたという父親は髪は黒くとも、瞳は母様に似た蒼だったというのに。

 本当になんの因果だよ、と思う。この国で最も忌み嫌われる魔女にそっくりの容姿を持って生まれてきたくせに、できることは普通の人間と同じどころか力も体力も平均以下なせいで、それより少ない。

 変な夢を見たせいで、今日は朝から嫌なことばかり考えてしまう。ため息をつきながら簡素な服に着替え、腰のあたりまである艶やかな夜色の髪を一つに結い上げる。そしてその結い上げた髪を隠すために上着を羽織りフードを被る。この村の人間は私の容姿などとっくの昔から知っているけれど、こうでもしないと何もさせてもらえない。ひっそりと生きていくしかない自分の人生を呪いながら、今日も私は家を出る。

 

「ユウヒ、何をしていたの!? 来るのが遅い!!

 仕事先の屋敷に着くなり、思いっきり頰をぶたれる。

 

魔女のお話が好きな方は是非に✧٩(ˊωˋ*)و✧

 

からーの

もう一つ魔女のお話をご紹介。

 

   それでも魔女は毒を飲む

 

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    魔女は永遠を願った

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こちらは魔女と、王子の描写などが好みです☆^(o≧∀≦)oニパッ

切ない胸がキュッとなるお話。

全2話の3000文字未満なのでサクッと読めちゃいます。

 

ルビが泣ける:☆☆☆☆

二話目……!(いい意味で):☆☆☆☆

 

(*’∀’人)ほぼネタバレになってしまうので言えないもどかしさ……!

もう読んで←おい