WEB小説紹介№043 「夢見るあの子に彼は誰を」Wasabi Konjikiさん
夢見るあの子に彼は誰を
学生の揺れ動く心を是非ご覧あれ──
あらすじ
主人公である田中聡は、幼い頃から不思議な夢を毎晩見て生きてきました。
その内容は一つの例外もなく、夢に誰か知り合いが現れ、聡に対して本音を一方的にぶつけてくる、というものです。
そうして、人から純粋な本音を聞き続け、自分に向けられるものが負の感情ばかりだと気付かされた主人公は、やがて人と関わるのをやめ、誰も信用しなくなっていきました。舞台は一〇月、秋の京都。修学旅行で彼は偶然好きな女の子と同じ班になり、珍しく楽しい一日を終えます。
今までその子は夢に出てきたことがなかったのですが、しかし、その晩の夢にとうとう彼女が現れ、その日のことを全て否定されてしまいました。
この物語は、それを境に自分の在り方を見つめ直す主人公の聡と、周囲の環境が深く掘り下げて描かれていきます。
表紙画像は「夢見るふかふかのベッドと、波紋を荒くたてるような夢ばかり」をイメージしました。
不吉とも幸運ともいえる鳥のシルエット
学生という黄金時代を象徴してゴールドを散りばめました( *´艸`)✨
本編引用
砕けた景色が広がっていた。
油絵か何かのように空間が歪んでいて、原色をそのまま塗りたくったような空間は、どこか耐え難い不快感すら感じさせるものだった。長いため息をこぼしながら、少し待つ。
俺はこの空間を知っていた。誰かから説明を聞いたわけでも、調べあげたわけでもないけれど、長年続く経験は、それを頭に植え付けている。これは、夢だ。
凡およそ動物の視るそれとは大分異なるモノだとは思われるが、俺はこの空間のことをそう呼称している。まともな感覚が残っていれば吐きそうになる奇怪な空間も、全ては俺の頭の中というわけだ。だが、そんな夢の中において、俺がつくったものではない何かが一つ。
離れた場所に、一人の青年が立っていた。背丈は大体中学生くらいで、目線は俺と同じ高さにある。生気の感じられない虚空の瞳はしかしこちらを真っ直ぐに貫いていて離さない。
まるで責められているような表情に、目を逸らしたくなるが、それが許されないことくらいは、幼い頃からの積み重ねで知っていた。「お前の———」
始まる。
「———顔が嫌いだ。何を考えてるのかわからねぇし、話しかけてやっても面白くなさそうにしやがって。俺がそんなに嫌いかよ。そんなんだから友達も少ないんだよ」
延々と。その男、名は何と言ったか。確かクラスメイトの吉田よしだ。は、そうやって愚痴をこぼし始めた。怒気を孕み、強く力を込められた彼の顔の筋肉が動く度に、俺はため息が出る。
霞かすんでいた瞳にもいつしか生気は戻っていて、どこか楽しそうだ。そんなに、俺に文句を言うのが嬉しいのだろうか。
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