WEB小説美術館・まほろば

WEB小説の紹介用。全てファンアートを贈った作品のみの展示になります。

WEB小説紹介 №015 「紙の花」「ほおずき弓」 本条凛子さん

紙の花

作者 本条凛子

kakuyomu.jp

 

あなたが贈りたい花、見つけました

 

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こちら今回新しく作成しましたo(≧∇≦o)(o≧∇≦)o✨

 

あらすじ

二年に渡る独立戦争から六年経過した。大国から解放されたエピストゥラ公国の首都カラムスに住む青年アルフ・ナイチンゲールは少年兵として過ごした記憶に心を未だに蝕まれていた。
戦争だから殺してきた。
戦争だから諦めてきた。
終わってからの六年間に渡る今、罪悪感と猜疑心ばかりが支配する毎日に一人の女性と出会う。言葉を喋れない彼女は優しく、不器用に接しながらも、美しい紙の花を作る紙花職人だった。

 

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プロローグを

追憶のプロローグ

 拝啓、親愛なる──

 

 手紙を書くなか、アルフ・ナイチンゲールは絶望の中にいた。濃い空のブルーの瞳は涙に潤み、今にも下瞼から溢れようとしていた。

 慣れているはずのタイプライターをうつ指はぎこちなかった。

 ペンで書こうとした書き損じの手紙は足下で屑となって散らばっている。ペンから溢れたインクの染みは、彼の涙でもあった。

 今。

 彼は全てを失っている。

 失った。

 見失っていた。

 大切な人だったはずなのに。

 ようやく大切だと気づいた時にはアルフの目の前から消えていた。二度と戻ってこない、と重々承知している。

 それでも。

 彼がその相手に何かを贈ろうとしているのは確かで、手紙はその第一歩である。

 上品な漆黒のタイプライターのすぐ隣、猫足のテーブルには幾重もの紙が置かれていた。バラにスミレに、ローダンセ。花の絵が添えられているレターセットとは違う。真っ白な紙の束。厚さはそれぞれ。肌触りもそれぞれ。

 何に使うか皆目見当がつかない。ともに置かれているはさみ、カッターナイフがあることからして、切ることもあるのだろう。また、色も付けるのか、絵の具の材料もある。

 これらを使いこなしてできあがるのは、精巧な紙の花だ。

 親愛なる、で止まってしまったアルフの指は、一度タイプライターから離れ、再度打とうとし、迷って結局は中断した。伝えたいことが多すぎていざ書こうとすると、何から書くべきか迷走してしまう。とうとう何も書けなくなったアルフは、立ち上がって部屋を出た。

 

 もしかしたら、を求めていた気持ちはあっという間にしぼんだ。

 そこに大切な人はいなかった。あるのは、その大切な人とともに育んだ品と空間だけ。優しいブラウンの壁紙に暖色の灯り。照らされたテーブルや棚には、たくさんの紙でできた花が並べられている。

 

 アイリス。

 カーネーション

 スイートピー

 ヒマワリ。

 勿論バラもユリも、種類は豊富だ。

 材料が紙だとは思わせないできばえだ。緑を流れる葉脈、花びらの筋、繊細な輪郭。よく見なければ生花だと錯覚してしまう。

 美しい生花を手に入れることが難しいこの国で、紙工芸品としての頭角を現しはじめた紙の花を、大切な人だったウォークス・シトレーは紙花ペーパー・フロースと名付けた。

 

 宝石よりも輝かしい思い出の品ばかり。

 

 もう二度と。

 

 くしゃりと顔が歪む。

 とうとう目尻から涙は落ちて銃痕のある頬を滑り、床に潰れた。

 もう二度と、ウォークス・シトレーとこれらを作る日々は来ない。

 

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戦争とその後の主人公の心情、そして心の傷がリアルに描かれています。

ヒロインとの出会いによって癒されていく──!?

でも冒頭でΣ(・ω・ノ)ノ!気になる描写が!

気になったら本編にGO

 

 

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こちらも少し調整してみましたo(≧∇≦o)(o≧∇≦)o✨

 

 

『短編』

 

     ほおずき弓

 

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    ずっとそばにいてよ

 

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あらすじの引用

祖父が死んで十年目のお盆が来た。その準備に勤しむ律子には祖父に対する後悔があるばかりだった。
そんな鬱々とした律子は鬼灯に亡き祖父の面影を見る。

※残酷描写有りを念のためつけてあります。

 

短編で完結済み(/・ω・)/♪

      

 

 

本編を一部抜粋しました

 お盆がはじまる頃、田舎では墓や仏間に飾る花を買うのに躍起になる。乳白色から黄色、の大きな菊から甘い匂いの花やら夏に出回るリンドウ──長持ちするやつはだいたいすぐなくなる。全て、ではないが、いい花は早いもの勝ちと言わんばかりに、遅れてきた客どもを笑うかのように弱々しく、半日も保たない小さな花だけがぽつんと桶に残される。

 あれがない、これがない、と負け組の客どもは店員たちを困らせた。

 早く来ればいいだけの話じゃあないのかね。無いものは無いのだよ。

 律子は無いものねだりの客どもを見た。溜め息ばかりの客と生返事ばかりの店員を視界の端っこに収める。そんな律子の手には、しっかりと瑞々しい花の束が握られている。咲きかけの百合の花が小さな鼻を生意気にもくすぐった。

 

「へっくしょい」

 

 

爺ちゃん。゚(゚ノД`゚)゚。

今回は表紙画像を作るまでの流れを紹介☆

酸漿を使いたい!から

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ちょっとインパクトが(/・ω・)/

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ということで、いろいろと試した結果出来上がったのがこちら(/・ω・)/

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