WEB小説美術館・まほろば

WEB小説の紹介用。全てファンアートを贈った作品のみの展示になります。

WEB小説紹介№035 「ウェヌスの涙 −極楽堂鉱石薬店奇譚−」永久野和浩さん

https://ncode.syosetu.com/n0467ew/

ウェヌスの涙-極楽堂鉱石薬店奇譚- 

            永久野和浩

 

f:id:yashirotougen:20190908023042j:plain鉱石が薬になる

大正時代風の世界の物語。

なろうにて公開中

https://ncode.syosetu.com/n0467ew/

 

あらすじ引用

い極楽堂鉱石薬店奇譚シリーズ。前回の「月長石の秘め事」から三年後の設定ですが、特に前作を読まなくてもわかるような内容にするつもりです。
ただ、前作をお読みいただければより理解が深まるかと思います。
→月長石の秘め事 -極楽堂鉱石薬店奇譚- 

https://ncode.syosetu.com/n0413ef/



仮想の時代、大正参拾余年。
その世界では、鉱石は薬として扱われていた。
鉱石の薬効に鼻の効く人間が一定数居て、彼らはその特性を活かし薬屋を営んでいた。

極楽堂鉱石薬店の女主の妹 極楽院由乃(ごくらくいんよしの)は、生家の近くの線路の廃線に伴い学校の近くで姉が営んでいる店に越してくる。
の町では、龍神伝説のある湖での女学生同士の心中事件や、不審な男の付き纏い、女学生による真珠煙管の違法乱用などきな臭い噂が行き交っていた。
ある日、由乃は女学校で亡き兄弟に瓜二つの上級生、嘉月柘榴(かげつざくろ)に出会う。
誰に対しても心を閉ざし、人目につかないところで真珠煙管を吸い、陰で男と通じていて不良女学生と名高い彼女に、由乃は心惹かれてしまう。
だが、彼女には不穏な噂がいくつも付き纏っていた。

※作中の鉱石薬は独自設定です。実際の鉱石にそのような薬効はありません。

 

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妖艶かつ女性たちの世界観(*'▽')

重要なワードがたくさんあったので、表紙画像に入れてみました。

 

 

本文引用

プロローグ

女学生の間では、エスという関係が密やかに結ばれている。

上級生が下級生に声をかけて、秘密の姉妹の関係を結ぶというものだ。

二人は他にエスの相手を作ってはいけない。常に相手を想い、文をしたため、お揃いのものを持ち、互いを恋い慕う。

それは、結婚相手を自らの意思で選べない少女たちの唯一の抵抗。秘密のロマンス。

 

そしてそれ故に、結婚が決められた時にそれを嘆き悲しみ、心中を図るエスの姉妹が出始め、それは静かな社会問題になりつつあった。

 

 

 

 それは、夏も終わりを告げて秋茜が飛び回り始めた夕刻だった。

 そこは、湖と言うには大きく、海さえ思わせる程の水を湛えていた。周囲は山で囲まれ、水際はまるで砂浜のようにさざ波を寄せている。

 「いいところですね」

 思わず、そう口にしていた。とても美しい。赤みを帯びた空が湖に映り込んで、えも言えぬ情景を織り成している。

 「ええ……私、ここが好きなの。最期はここが良いと決めていたわ」

 そう言って彼女は笑いかけた。彼女は靴を脱いでその場に揃えると、砂の感触を楽しむように足元を見て歩き回る。

「……ごめんなさいね。あなたをこんな事に巻き込んでしまって」

 ふと、足を止めて彼女はそう呟いた。その声に自分も靴を脱ぐと、彼女の方に歩み寄った。

「私が決めた事です。今生を貴女と共に生きられないなら、私の人生にも意味はありません。……せめて黄泉路を共に行きましょう」

 そう言って彼女に接吻し、微笑みかけた。彼女の頬を一筋の涙が伝い落ちる。ふいに、彼女に抱き締められた。

 彼女は自分の胸で、しばらくの間泣きじゃくっていた。

「……ごめんなさい。ありがとう……」

「私の方こそ……ありがとうございます。こんな私を……愛して下さって……」

 二人は手を取り合うと、互いに微笑みあった。そして、水際まで歩いていって濡れるのも厭わずに座り込むと、ポケットから澄んだ紅い結晶をふたつ取り出した。

「……準備してくれてありがとう」

「私から貴女に差し上げるものが、まさかこんなものになるなんて…」

「ううん、素敵ね……綺麗な紅だわ。こんなに綺麗な石に導いてもらえるなんて、素敵だわ」

「……本当に、いいんですか。もう、未練は無いのですか」

「あなたはあるの?」

「……いえ」

 自分の言葉に、彼女はにこりと微笑みかけた。そして、その紅い結晶を唇に咥えると、自分にその唇を重ね合わせた。

「……私もよ。さあ、二人で龍になりましょう。この湖で、ずっと二人一緒にいましょう。」

 そう言って、懐から赤く美しいびいどろのような煙管を取り出す。唇から赤い結晶をつまみ出すと、それを火皿に入れて見せた。

「たとえそこが 奈落タルタロスの底でも、あなたとなら怖くないわ」

 

 

 

後日、湖の辺で二人の女学生が心中を図っているのが発見された。

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Twitter用に表紙画像を調整しました('ω')ノ

 

なろうにて公開中

https://ncode.syosetu.com/n0467ew/

 

→月長石の秘め事 -極楽堂鉱石薬店奇譚- 

前作はこちら(*’∀’人)

https://ncode.syosetu.com/n0413ef/

 

 

 

 

 

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①軽い自己紹介をお願いします(*’∀’人)
永久野 和浩(とわの なぎひろ)です。
育児と仕事の傍ら小説を書いています。

 

育児と仕事の傍らとは(*'▽')……!スゴイ

 

②自分の得意なジャンル。またはシチュエーションなどありますでしょうか?
自分の小説のジャンルというのがよくわからなくて。

一応小説投稿サイトには純文学という形でカテゴライズしています。明治・大正・昭和初期あたりの話をよく書きます。

 

たしかに「ウェヌスの涙」は大正、「末の契り」は遊女と、くのいちが出てくる時代ものですね*:゜☆ヽ(*’∀’*)/☆゜:。*

ジャンルをどれにするかは、投稿する際に悩みますものね( *´艸`)✨

 

③自分の代表作といったら、何でしょう???
極楽堂鉱石薬店奇譚というシリーズです。
鉱石が薬となる大正時代のような世界で、極楽堂という鉱石薬店を中心にお話が繰り広げられます。大正時代の女学校で流行した、上級生と下級生の恋慕に似た姉妹関係「エス」を題材としていますので、百合色が強めです。

現在、シリーズの最初に書いた「月長石の秘め事」は、ノベル大賞に応募しているため掲載を取り下げています。

閲覧可能なものはこちらです。

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ウェヌスの涙 -極楽堂鉱石薬店奇譚-

https://ncode.syosetu.com/n0467ew/

こちらは初めて十万文字以上書いた作品で、辿々しいながらも伏線やその回収をかなり意識して構成しています。
登場人物のキャラクター性には定評があり、それぞれの心の機微はとても繊細に描けていると自負しています。
どの話がおすすめかと言われると全部を勧めたくなってしまうので……自分の好きなシーンは、「月の雫と砂糖菓子」という章の四話目ですね。

主人公 由乃の姉で極楽堂の主人である奈落の台詞

「笑いなどするものか。貴女は必死に、それこそ命をかけて雫さんを愛していたのだ。そんな貴女を美しいと思いこそすれ、誰が笑うものか。笑う奴はこの私が張っ倒してやる」

というところが気に入っています。

 

*:゜☆ヽ(*’∀’*)/☆゜:。*ありがとうございます✨

そうですね、こう好きなワードや設定などハマる人にはたまらないお話かと思います(*'▽')!

作品に対しての愛がヒシヒシと伝わってきます✨

 

④作品のテーマや書くことに関してこだわっていることなどはありますでしょうか??
鉱石が薬になるというファンタジーな設定ですが、本当に現実にそんな薬効があるのではないか、と思われるような描写を心掛けています。

大体はパワーストーンとしての効能を調べて参考にしているんですけれども、実際の石の成分の情報を調べてみたり、薬に詳しい人、石に詳しい人に意見を仰いだり。薬の使い方もただ粉にして服用するだけでは無くて、鉱石ならではの使い道を模索しています。真珠煙管などは、クレオパトラが真珠を溶かして飲んだという話を参考にしてますね。
また、時代背景にしても、ファンタジー設定に甘えず、大正時代の風俗や生活を随時調べてそれらしく書く努力はしていました。

普通に書いていて、違和感を感じる部分(これは現代ではこうだけど、この時代は違うんじゃないか?など)は結構あったので、そこは必ず。ただ、会話に勢いをつけたい時などは、キャラクターが「マジで?」とか言ってしまっても敢えてそのままにしたりもしていましたけど。
そうやって気を付けて書いても、「この時代にコレはない」と突っ込まれる事もあるので……本当にまだまだだなとは思うんですけど、これからも頑張って書いていきたいです。

 

おおo(≧∇≦o)(o≧∇≦)o素敵ですね!

ファンタジーだからこそ、設定として組む込むモノには知識の深さは作品に影響すると、私は思っております。

調べたり、話を聞くことで新たな発見などもありますものね(*'▽')!

時代背景は言葉遣いやその時代にあるもの、ないものなどいろいろ配慮が必要だと思いまする。

その姿勢を是非貫いてくださいませ*:゜☆ヽ(*’∀’*)/☆゜:。*