WEB小説紹介 №016 「喪き我らの征く先は Bride of Rip van Winkle」企鵝モチヲさん
【完結】
明日喪き我らの征く先は
Bride of Rip van Winkle
作者 企鵝モチヲ
これは、虚構《じじつ》に近い物語である
あらすじ引用
これは、虚構《じじつ》に近い物語《ものがた》りである。
その世界の史実が語るところによれば、1908年11月――ボリビアの地にて一人の無法者が自らの命を絶つ。
それを人々が受け入れる受け入れないは別として、その無法者の死にある不可解な矛盾があることに、誰も気付くことはなかった……。
それはさて置いて、浅倉アトリは途方に暮れていた。
気付いたら都内の駅じゃなくて荒野にいたのなら、そりゃあ当然だよね。
だけどそんな矢先、一人の男と出会う。
ザ・サンダンス・キッドと名乗ったその男に「それって、【ワイルドバンチ強盗団】の?」と何気なく返した途端、腹パンを入れられて意識を失う。
そして連れ去られた先で、アトリは驚愕の真実を知る羽目となるのだった。
見知らぬ世界の見知らぬ地にて、アトリが出会ったその男は、無法者であり、かつては【ワイルドバンチ強盗団】の首魁であり――そして、今は【不死者】たる存在だった。
異世界転移した少女と全てを失い喪った無法者の男。
互いの利点の一致で行動を共にすることになった二人は、そこで何に出遭い、何を得て……そして、何を失うのか?
舞台となるのは、時のアメリカ西部開拓時代を模した異世界。
登場するのは、あの時代の有名人たち(?)。
西部劇風異世界ファンタジー、ここに開幕!
※西部劇に関する知識が無い人でも楽しめる作りになっています。安心してお読みください。
※ところどころで歴史とかその時代の人物とか西部劇とかがネタにされると思いますが、それはあくまで筆者の観点から描かれるものです。「絶対こうだった!」という確証・保証はありません、あしからず。
本文のより抜粋
これは、事実に近い物語りである
――『明日へ向かって撃て!』より
そこはかつて、
新大陸 と呼ばれていた。
整然と区分けなんてされていなかった大地。
数えきれないほど沢山の
無法者 。飛び交う銃弾と硝煙のにおい。
崇められる精霊 ココペッリの笛の音は、耳を澄まさずとも聞こえてくる。
新大陸 。そこは純粋な自由と暴力が満ち溢れていた世界。
ビリー・ザ・キッドや【ジェシー・ジェイムズ一味】のように威勢溢れる
無法者 が、そこでは当たり前のように生きて生きて生きて生きて……そして、死んでいく。
俺たちが駆け抜けていくのは、そんな世界。
我ら【ワイルドバンチ強盗団】が駆け抜けていくのは、そんな世界。
明日なき今日という刹那の瞬間続きで構成されているであろうそんな世界を、【
ワイルドバンチ強盗団 】は駆け抜けていく。生き抜くことの不安も、死ぬことの恐怖も、そんなの全部後回し。
ひたすらに、
がむしゃらに、
ただただ真っ直ぐに、
ずっと、ずっと――
ぐるんっ、と視界が回転したかと思えば、受身をとる間もなく床に叩きつけられていた。
我が身のことながら、他人事のように思う。こりゃあ死んだな、今度こそ本当に、と。
不揃いな石を泥で固めて作っただけの土壁を突破した鉛弾は、猟犬の牙となって俺の身体を容赦なく食い破った。
衝撃が重さを伴なって突き抜け、一瞬、呼吸が止まる。
そして、気付けば床に倒れ伏していたってわけだ。
穿たれた銃創からは血が、指先からは力が、止まることなく溢れ出て行く。
立ち上がろうとする、気力ですら。
痛みが灼熱となって身体中を駆け巡り、喉から苦鳴が迸る――ことはなかった。
吐き出されたのは声ではなく、血反吐だった。
独特な異世界もの。西部開拓時代空気とアウトローが雰囲気が独特です( *´艸`)!
ついに完結( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )