WEB小説美術館・まほろば

WEB小説の紹介用。全てファンアートを贈った作品のみの展示になります。

WEB小説紹介№059「ピアノはお好き?」「君は何になった?」 狭倉朏さん

ピアノはお好き?

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あらすじ引用

「私」はピアノを弾こうと思っていた。誰も居ないはずの音楽室で「彼」と出会うまでは。

ピアノが導く出会いを描く青春短編。

タグ/学園 現代 短編 ピアノ 音楽 青春

5000文字未満のつづられた青春物語*:゜☆ヽ(*’∀’*)/☆゜:。*

「私」と「彼」はピアノを弾く。その出会いは──なにを変えるのか?

 

ピアノ好きは読みに行こう:☆☆☆☆

好きなものがある人は響く:☆☆☆☆

 

二人がピアノを弾くという形でファンアートを作ってみました。少し温かみのある感じでオレンジ色の色合いを混ぜたのと、中心にはあらすじを英文にしてみました。

 

本文引用

「ピアノが好きなの?」

 私はひとつ訊ねた。

「音が好きなんだ」

 彼はそう答えた。

 

 放課後の音楽室。

 いつもなら吹奏楽部が占拠している空間。

 テスト期間の今、居るのはセーラー服の私と学ランの上を脱いだ見知らぬ男子生徒だけ。

 私の突然の質問にも動じずに、彼は動かす指も止めずに、言葉を続けた。

 

「音なら何でも良いんだ。連続している必要もない」

「連続」

「アナログじゃなくてもいいってこと」

「アナログ?」

 

 彼が弾いているのは電子ピアノではない。本物のグランドピアノだ。

 

「アナログとデジタルの違いはね、簡単に言えば連続してるかしてないかなんだ。音というのは波の形をしているものだけれど、デジタルに変換された音楽は元のようになめらかな波の形をしていない……棒グラフのかたちをしているんだよ」

「よく分からない」

「うん。そうかい」

 

 彼は肩をすくめると沈黙に戻った。

 沈黙と言ってもせわしなく指は動いているので音を奏でる装置に戻ったとでも言おうか。

 

「何か音楽系の部活には入らないの?」

「面倒なんだ。人と何かをやるのがね」

「そう……私と話をするのも面倒?」

「面倒だね」

 

 素直な人だ。いっそ私は感心した。

 

「その曲は何という曲?」

「即興だよ」

「そうなんだ」

 

 音をいくつも重ねて響くそれは即興というにはあまりにまとまりがあった。

 小学生の数年間、戯れにピアノを習わせてもらっただけの私にすら、それが即興としてはきちんと音楽として成り立っていることはわかった。

 穏やかな音、流れるような音、軽やかな音、病院の待合室でかかっているような音。

 まるで演奏者の心のようだ、などと言うのはあまりに気取り過ぎだろうか。

 

つづきはノベルアップで読める*:゜☆ヽ(*’∀’*)/☆゜:。*

ピアノを弾こうとした

「私」は「天才」に出会ってしまった。

 

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 ***

 

君は何になった?

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あらすじ引用

学生時代、あの子の夢を「私」は古くさいと笑い飛ばす人たちの中にいた。 大人になって、「私」はきっと古くさいとは言われない職業に就いた。 そしてあの子と再会した。夢を叶えたあの子と。

タグ/AMG夢コン シリアス 現代日本 日常 社会人 女主人公 青春

2000文字未満の短編小説。

学生時代の「夢」。そして大人になって出会った彼女との再会。

出会った二人の会話をお楽しみくださいませ(*´ω`*)

 

大人になったからこそわかること:☆☆☆☆

2000文字以内に詰め込まれた物語:☆☆☆☆

夢はかなえるもの:☆☆☆☆☆

 

主人公のキャリアウーマンと、17年ぶりに出会った同級生。印象深かったシーンをファンアートにしてみました。

真っ白の純粋な夢を、育んで叶えたというイメージで白のシルエットを入れてみました*:゜☆ヽ(*’∀’*)/☆゜:。*

 

本文引用

「将来の夢? お嫁さん!」

 彼女のその夢を時代錯誤と私達は笑った。

「そこそこ仕事してから結婚して寿退社!」

 私達の女子校は進学校で、上昇志向の高い子が多かった。
 部活に勉強に、一生懸命だった。
 高校のスローガンは文武両道。

 そんな私達の夢は、医者になりたい、学者になりたい、教師になりたい、アナウンサーになりたい。
 高卒で”つまんない仕事”に就職とかあり得ない。
 そういう風潮が渦巻いていた。

 そんな私達の中であの子の夢は明らかに浮いていた。
 だけど、あの子の瞳は輝いていて、それはまぶしくて、皆と笑いながら私はひっそりその光から目をそらした。

「それにしてもあれはないわー」
「寿退社とか古っ」
「ていうかさ、ああいう子がいるから女が仕事中途半端に辞めるとか言われるんだよね」
「普通に迷惑」
「なんでウチの高校いるんだろ、あいつ」

 とげとげしい言葉をトイレの個室で聞いた。
 私は息を潜めて、彼女らが去るのを待った。

 

 あれから17年。
 私は弁護士になった。
 女の弁護士っていうのはそれだけで一定の需要がある。
 だけど女弁護士を求める被害者の話の多くはとても重たく苦しい。

「……はあ」

 公園でお昼ご飯のサンドイッチをつまみながら、空を見る。

「……あれ?」

 誰かに声をかけられた。

 

つづきはノベルアップで(*’∀’人)

 

昔々、誰かの夢の話を聞いて、

私たちは笑った。

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